埋木帖

政策をテーマにエッセイをつらつら書きます

経済学で使える統計ソフト6選

計量分析や因果推論・EBPMが流行っているおかげでしょうか。

最近、回帰分析やデータの種類について解説した記事のアクセスが伸びてます。

ありがとうございます。

 

umoregicho.hatenablog.com

 

もちろん、こういう解説記事で計量分析について学んでいただくのは重要なことだと思います。とはいえ、この分野は、やや「習うより慣れろ」という感もあるので、「実際に統計ソフトを使ってもらったほうが学習効果は高いのかなあ」と個人的には思います。

 

そこで今回は計量経済学分野で用いられる統計ソフトを6つ、ご紹介します。

(よろしかったら、使っていただきたいと思います。)

 

0.統計ソフトの見取り図

統計ソフトと一言で言っても、種類は結構あります。

とはいえ、分野によって、よく使われるもの、使われないものがあります。

今回は、経済学(や社会科学)分野で使用されることが多い、統計ソフトを6つご紹介します。

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今回紹介する統計ソフト6つ

今回は、①有料か無料か、②操作の難易度、の2つの軸で見ていきたいと思います。

 

有料ソフト

1.Stata(ステータ、スタータ)

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計量経済学を学術的な研究としてやっている方の間では、最もメジャーな統計ソフトと言ってもいいと思います。また、医学・疫学分野でも使用されているそうです。

読み方については、「ステータ」「スタータ」の2種類が存在している感じです。

stataの強みは、何と言ってもミクロデータ(マイクロデータ、個票データ)の処理です。

一般的に、世に出ているデータは調査を基に集計したデータです。

しかし、詳細な分析を行うには、集計したデータではなく、ありのままのデータ(Aさんの回答、Bさんの回答、、、のようなイメージ)を使う必要があります。

このような「ありのままのデータ」をミクロデータと言い、stataは、このミクロデータの処理を得意としています。

ただ、操作はコマンドを入力するタイプなので、慣れるまではしんどいと思います。

(そもそも、一般の方がミクロデータを扱う機会に恵まれることは多くないかと・・・)

 

2.EViews(イービュース、イービューズ)

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stataが、アカデミアで広く使用されているのに対して、官公庁や民間シンクタンクで使用されることが多い統計ソフトです。

なぜ、EViewsが実務の場面で使われることが多いのか?それは、EViewsが①時系列分析を得意としている、②操作が簡単、という2つの特徴を持っているからです。

まず、時系列分析というのは、2000~2018年までの日本のGDP日経平均株価といった時間ごとのデータを使った分析のことです。

この時系列分析は、なかなか独自の体系を持っており、特殊な処理を必要とする場面が多々あります。

しかし、時系列データは、ミクロデータと異なり、広く公表されているため、データを集めること自体は簡単です。

官公庁や民間シンクタンクでは、このような比較的集めやすい時系列データを用いる場面が多いため、時系列分析を得意とするEViewsを使うことが多くなるのだと考えられます。

ただ、時系列分析は、前述の通り、特殊な処理を必要とします。そのため、コマンドを使用するような操作だと、難しいです。

しかし、EViewsは、コマンドでも操作できますが、ボタンをポチポチするだけで分析をしてくれるので、Stataなどと比べると、操作自体は易しいです。

このような点も、実務の場面でEViewsが活用されている理由でしょう。

 

3.SPSSエスピーエスエス

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SPSSもEViews同様、ポチポチ型の統計ソフトです。

ただ、正直、経済学分野で使用することはあまり多くありません。むしろ、計量政治学社会学、心理学で用いられているイメージです。

SPSSの強みは、社会学や心理学などで用いられるクラスター分析や因子分析などを得意としていることでしょう。

これらの分析は、経済学分野で用いられることは、あまり多くないので、経済学徒の間でのSPSS使用率が低くなっているのだと推測されます。

 

無料ソフト

以上、有料ソフトを紹介してきました。

いろいろ書いてますが、有料ソフトは全般的に、高度なことを(比較的)簡単にやれるので、使い勝手がいいです。

ただ、どの有料ソフトも価格がバカ高いので、大学やなんらかの機関に属していない方が使うにはハードルが高いです。

そこで、ここからは無料で使える統計ソフトを紹介していきます。

 

4.Excel(エクセル)

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表計算ソフトとしておなじみのExcelです。

Microsoft officeの中に入っています(office自体は有料ですが、多くの場合、デフォで入っているので、無課金ソフトとでも言う方が正しいかもしれません)

Excelでも、設定をいじれば、簡単なデータ分析(回帰分析とか)は可能です。

 

設定のいじり方

support.office.com

 

とはいえ、やれることは、あくまで「簡単な分析」に限られるので、「試しにやってみよう」という場面での使用を想定するくらいがいいかもしれません。

 

5.R(アール)

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言わずと知れた、無料の統計ソフト。

無料統計ソフトの王様と言ってもいいかもしれません。

Rは無料にもかかわらず、高度な分析が行えるので、利用者が多いです。

また、それに合わせてRを使った計量分析を解説するネット記事や書籍も多いです。

ちょっと検索するだけでも、出てきますので見てみてください。

ただ、RはStata同様、コマンドを使うので計量分析初心者には、ややハードルが高いと思います。ただ、できるようになると広く使えると思うので、根気強くやれる方は是非、触ってみてください。

 

6.gretl(グレーテル)

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「Rはむずい!」「根気強くない!」「ちょっといじってみたいだけ!」という方には、こちらのgretlがおすすめです。

(正直、gretlを紹介したいがために、今回の記事を書いている感じなくらいです。)

 

知名度は、あまり高くありませんが、試しに計量分析をやってみたい初心者にはgretlが一番いいと思います。

gretlは、計量経済学での利用に特化した無料ソフトで、(データさえあれば)ミクロデータの分析(クロスセクションはもちろん、パネルデータ分析も可能)も時系列分析も可能です。

また、Rと違い、gretlはポチポチ型の統計ソフトなので、Rより操作が簡単です。

 

難点を挙げるとすれば、解説書や解説のネット記事が少ないことでしょう。

 

ひとまず、やってみたいという方は、こちらを見るといいかもしれません。

www.ic.daito.ac.jp

 

また、書籍としては一応、こちらがあります。

日本語の解説本としては、ほぼ唯一でしょう。

 

www.amazon.co.jp

このように解説は、やや少ないですが、gretlは初心者が計量分析をやってみるには最も良い統計ソフトだと思うので、是非試してみてください。