埋木帖

政策をテーマにエッセイをつらつら書きます

「君の名は。」CM論

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出典:www.tv-asahi.co.jp/kiminona/#/?category=anime

先ほど、地上波で初めて「君の名は。」が放送されました。

2016年に公開され、大ヒット。興行収入は250億円に上り、歴代4位、日本映画に限定すれば史上2位の好成績を収めた映画です。

劇場で見た方も多かったと思います。

 

さて、これを地上波初放送。しかも、1月3日という正月三が日のうちにということですから、これが高視聴率を叩き出さないはずがありません。

各社はCMに相当力を入れていました。

 

例えば、Z会新海誠監督を起用して、CMを作成。「君の名は。」の世界観そのままのCMが流れ、「CMなのか本編なのか」分からなくなった人も少なくなかったようです。

 

www.zkai.co.jp

 

 

また、ソフトバンクも「君の名は。」対応のCMを放映しました。

 

さて、このように各社が相当力を上げてCMプロモーションを展開してきて、これ自体は、さして驚きではなかったのですが、このCMには少し驚きました。

 

 

 

このCMに登場しているのは、「君の名は。」で主人公のひとり・宮水三葉を演じた上白石萌音さん。しかも、設定も田舎の高校生で、「君の名は。」の世界観そのままです。

思わず見入ってしまったという方も多かったと思います。

このCMのテーマは「society 5.0」。意味としては、今後、IoTやAIの技術革新によって起こる第4次産業革命後の社会を指す言葉ですが、いまいち通常のCMのようなメッセージが分かりません。この商品がいいだとか、この企業ブランドのイメージを上げようといった趣旨は見えてきません。

実はこのCM、普通の民間企業が提供しているものではなく、政府が提供している「政府広報」なんです。

政府広報」というと、あまり聞きなれないかもしれませんが、新聞広告やポスター、ネット上にアップされる動画など様々な媒体で、政府からのお知らせを発信しています。

ただ、今どき新聞広告を出しても、新聞購読者層が高齢者だったり、ネットで動画をアップしたとしてもアクセス数につながらなかったりと、いまいち広告効果としては微妙な印象です。実際、「最近の政府広報で、どんなことが発信されているか知っていますか?」と質問したところで誰も答えられないでしょう。

(無駄に広告費用だけかかっている状態とも言えそうです。)

 

そんな政府広報が、「君の名は。」の地上波初放送という視聴率が高そうなところに、上白石萌音を起用した政府広報を流すというのは、今まであまり見られなかった手法で、相当にマーケティングとしてうまいと思います。

また、特にsociety5.0という言葉は若い世代に知ってもらいたかった言葉でもあると思うので、適切にターゲットにリーチする可能性は高いでしょう。

(テレビ放送後に、twitterのプロモーションでも、こちらの動画が流れてきました。SNSでも展開し、リーチを確実なものにしようとする意図が見えてきます。)

実際、このCMのテーマである「society 5.0」はtwitterのトレンド入りを果たしています。

 

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2017年1月4日23:30頃の東京のトレンド



一定の広告効果があったと言えそうです。

 

政府広報は、啓発事業として重要なものではありますが、その費用対効果が見えにくく難しい事業でもあります。しかし、今回、一般の大手企業のようなプロモーション活動を行って、一定の成果を上げたというのは大変興味深い例になったと言えます。