埋木帖

政策をテーマにエッセイをつらつら書きます

財政楽観論への一つの疑問

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先日、内閣府から最新の財政見通しが公表されました。

www.jiji.com

 

政府は「2020年までに基礎的財政収支プライマリーバランス)を黒字化する」という財政健全化目標を掲げています。

しかし、この内閣府の試算では、目標達成が困難であるとの結果となりました。

 

ご存知の通り、日本の財政赤字、債務残高は世界でも最悪のレベルに陥っています。

しかし、この財政赤字を問題とする見方がある一方で、日本の財政は問題ではないという意見も結構あります。ここでは、財政楽観論としておきましょう。

 

例えば、財政楽観論者で有名なのは、この方でしょう。

 

gendai.ismedia.jp

 

嘉悦大学ビジネス創造学部教授の高橋洋一氏は、この記事で主に2点主張されています。

  1. 日本は資産があるので、資産で債務を相殺した純債務でみると大した問題ではない
  2. 日本銀行国債保有しているので政府と中央銀行をまとめてみれば債務はほぼない

 

なるほど、理屈は通っているように思います。

 

しかし、一つの疑問が出てきます。

 

高橋洋一氏は、まあ経済学者ということになるんだろうと思いますが、経済学はある前提をもとに議論を進める学問です。

 

その「ある前提」とは、「人々は合理的な行動をする」という前提です。

つまり、経済学は人を「自身にとって損か得かを冷静に判断し、得をするほうをきちんと選び、行動する」主体として見ているのです。

 

さて、高橋洋一氏の主張に戻りましょう。

 

高橋氏の主張によれば、政府が資産を保有したり、中央銀行国債保有したりすれば、借金はチャラになるということです。

この方法、資産は国によってはまねできないですが、中央銀行による国債保有は原理的には、どんな国でも可能です。中央銀行発券銀行なわけですから、市中の国債を買い取る分のお金をすれば可能です。

この方法が、有効ならば、世界各国が既に導入し、財政規律に目くじらを立てるなんてことはしないはずです。

しかし、ドイツやオーストラリアは未だに財政規律を厳格に守っていますし、アメリカも数年前には国債発行に関して議会が機能不全に陥るような事態が発生しています。

 

これは経済学的な見地から見たとき、大きな矛盾を生じさせます。

すなわち、人々は合理的な行動をとるはずですから、高橋氏の主張されるような財政楽観論に基づく政策も、多くの国でとられているはずです。

しかし、現実にはそうなっていません。

 

なんだか、経済学者らしからぬ主張ですね。

是非、「なぜ、こんな素晴らしい方法を諸外国はとらないのか」を解説してほしいです。

 

 

ちなみに、私は氏の学術論文をCiNii等で検索しましたが見つけられませんでした。

 

画像出典:

https://www.google.co.jp/url?sa=i&rct=j&q=&esrc=s&source=images&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjo4uz6zJrVAhVT3WMKHXcJDioQjRwIBw&url=http%3A%2F%2Fnews.tv-asahi.co.jp%2Fnews_economy%2Farticles%2F000076476.html&psig=AFQjCNHmrCvT0BGZAHtki-oqdLCHDSHowg&ust=1500734263577769