埋木帖

政策をテーマにエッセイをつらつら書きます

消費低迷の犯人は消費税か? その5(最終回とポイント)

前回まで4回にわたって、消費低迷の主要因について分析をしてきました。

今回は、本シリーズを振り返りながら、政策形成において気を付けていただきたいポイントを説明していきます。

 

今回お伝えしたいポイントは「正確な原因分析の重要性」です。

 

最初に、そもそも論ですが政策形成には

  • 課題設定:政策課題の定義づけ(Plan)
  • 政策立案:解決策の作成(Plan)
  • 政策決定:解決策を実施するための政治的手続き(Plan)
  • 政策実施:政策の遂行(Do)
  • 政策評価:政策効果の検証(Check & Action)

の5つのフェーズがあります。ようはPDCAサイクルを回すわけです。

 

本シリーズでは、このうち「政策立案」の前段階を行いました。

つまり、「消費の低迷」という政策課題をとりあげ(課題設定)、実際に解決策を作るための前準備として、「現状はどうなっていて、その原因は何なのか?」を調べたわけです。

 

しかし、皆さんが政策担当者なら、こんな「現状はどうなっていて、その原因は何か」を調べるのなんて面倒くさいと思いませんか?

しかも、その1でも取り上げたように、日本銀行の審議委員を務めているような方が「消費の低迷には消費税の引き下げをすべきだ!」とおっしゃっているわけですから、さっさと消費税引き下げをしたほうがいいかもしれません。

 

しかし、データを見ながら調べてみると、「賃金」という全く別の原因が出てきたわけです。

 

政策は政府による問題解決だとも言えます。

政策を実施するためにはヒト・モノ・カネが必要になってきますし、この原資は税金です。

税金は有限ですし、無駄遣いをするわけにはいきません。

だったら、出来るだけ費用を抑えながら、最大限の効果を上げたいですよね?

 

今回は「消費の低迷」という政策課題に対して、

「賃金の低下」と「消費税」という原因が2つ挙がってきました。

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できることなら、その両方に手を打つべきでしょう。

しかし、投入できる資源は限られているわけですから、そうもいきません。

だったら、影響度の小さい「消費税」ではなく、影響度の大きい「実質賃金の低下」に手を打つべきです。

確かに、消費税の引き下げでもある程度の消費喚起の効果はあるでしょう。

しかし、せっかく政策対応するわけですから、本丸を攻めた方が合理的です

 

税金を無駄にしないためにも、より合理的な政策を講じるためには、正確な原因の把握が欠かせないのです。

また、そのためには、データとロジックに基づいた分析が必要です。

今回も、政府統計というデータと経済学の知見というロジックを使い、正確な原因分析を試みたわけです。

よく、何も根拠を出さずに「〇〇が原因だ!」なんてことをおっしゃる評論家や政治家もいますが、論理的に原因を特定することで、こういった妄言に影響されずに済みます。

是非、多くの方にこのデータとロジックを扱うセンスを磨いていただきたいところです。

 

これらからは、ニュースで政策論議を見るときに

きちんと原因を分析出来ているのかな?

という視点を持ってみましょう。