埋木帖

政策をテーマにエッセイをつらつら書きます

消費低迷の犯人は消費税か? その2

前回のおさらい

前回の投稿では、「消費低迷の原因は消費増税だ」という主張を検証していきました。

データを見てみると、確かに消費支出は低下していました。

しかし、消費増税後に大きく下がったというより、過去17年間一貫して低下していることが明らかになりました。

どうやら、消費増税は消費低迷の主犯とは言えなさそうです。

では、本当の主犯は、どいつなんでしょうか?

 

消費低迷の容疑者を考える

消費を低下させる輩には、どんなヤツがいるのでしょうか?

それを考えるのに有効なツールが予算制約線です。

ミクロ経済学を習ったことがある方は聞いたことがあるかと思います。ご存知の方はすっ飛ばしてください。)

 

予算制約線の基礎

予算制約線とは、物の価格とその人の所得をもとに、どれだけの消費ができるのかを表した線です。

例えば、1,200円の所得がある人が、パンと牛乳を買おうと考えています。

パンは1つ100円、牛乳は1つ200円とします。

所得が1,200円なので、使える予算も1,200円しかありません。

ですから、全額パンと牛乳に使うとすると、パンと牛乳の購入金額も1,200円が上限になります。

 

例えば、この人、おなかが減っていてパンをたくさん食べたいと考えていたので、

パン10コ(¥100×10=¥1,000)と

牛乳1コ(¥200×1=¥200)を買いました。

これなら、合計1,200円で予算ぴったりです。

 

逆にのどが渇いていた場合は、

パンを2コ(¥100×2=¥200)、

牛乳を5コ(¥200×5=¥1,000)買うこともできます。

(この場合も、合計1,200円で予算ぴったりです)

 

式にすると、こうなりますね

(パンの単価)×(パンの購入個数(x))+(牛乳の単価)×(牛乳の購入個数(y))=(所得)

具体的な数値を入れるなら

 100x×200y=1200

となります。変形すると

 y=-0.5x+6

となるので、これを、横軸にパンの購入個数、縦軸に牛乳の購入個数をとったグラフを書くとこうなります。

 

f:id:hodakakato0816:20170719191051p:plain

この直線が予算制約線です。

 

消費可能領域

予算制約線は、最大限可能な消費量を表します。

前述のように、パン10コと牛乳1コは所得を使いきれる最大限可能な消費量です。

もちろん、これより少ない量(例えば、パン10コと牛乳0コ)も消費可能です。

つまり、予算制約線より下側であれば、どんな組み合わせでも消費は可能です。

したがって、予算制約線の下側(図の水色部分)を消費可能領域といいます。

単純に考えれば、この消費可能領域が広ければ広いほど消費は多くなります。

では、どうすれば消費可能領域は拡大するのでしょうか?

 

ポイントは価格と所得です。

例えば、牛乳が200円から100円に値下がりしたら、どうなるでしょうか?

式は

 100x×100y=1200

なので、変形すると

  y=-x+12

となるので、グラフにするとこんな感じ。

 

f:id:hodakakato0816:20170719191043p:plain

価格が下がって、ピンク色の部分の消費可能領域が広がったのが分かりますね。

また、所得が1,200円から2,400円に上がった場合は(価格は当初のまま)

100x+200y=2400

なので、変形すると

 y=-0.5x+12

となり、グラフはこうなります。

 

f:id:hodakakato0816:20170719191047p:plain

これでも消費可能領域が広がりました。

つまり、「価格低下or所得増加→消費可能領域拡大

逆に、「価格上昇or所得低下→消費可能領域縮小

となります。

 

消費低迷の容疑者

さて、だいぶ予算制約線の話が長くなってしまいました。

本題に戻りましょう。「消費低迷の容疑者は誰か」という話でした。

現実には、消費が低迷しているわけですから、上記の話を踏まえれば、価格が上がったか、所得が下がったかが考えられます。

そう考えると、一律に商品価格を上げる消費税は確かに容疑者になるでしょう。

しかし、もう一人の容疑者も考えられますね。

そう、「所得の低下」です。

 

では、実際に次回、新たな容疑者である所得の低下について調べていきます。